先日、津波の緊急避難ビルになっている市内薗のNTTビルを見てきた。同ビルは外から扉のかぎを開けて、階段を上って避難場所となる4階にいけるようになっているが、いざというときにもたもたしていては助けられる命も助けられない。入り口がどこにあってだれがかぎを持っているのかなど、市は周辺住民への情報提供を徹底すべきであり、定期的な避難訓練も必要だとあらためて感じた。
 ただ、気をつけるべきは、NTTビルはあくまで緊急避難場所であり、だれでもまずそこにいけばいいというわけではない。市は「動ける人は日高高校や御坊中学校に一時避難を」と呼びかけており、和高専の小池信昭准教授にいわせれば「亀山まで走って逃げるべき」と勧めている。だからNTTビルはケガなどで動けなかったり、高齢者や車いすの人ら逃げ遅れた人たちが避難することになる。しかし、それを考えるとあの急な階段を高齢者や車いすの人らにどう避難させるのか、これもまた一つの課題である。
 あと感じたのは、かぎは3本しかなく、市役所と近隣の町内会長2人が持っているだけだが、いざというとき何がどうなるのか分からない。NTTビルのセキュリティーの問題もあるため、ばらまくことはできないだろうが、合いかぎを作ってもうちょっと周辺地区にも配っておく必要があるかもしれない。さらにもう一つ、市によると「NTTビルは古い建物だが、屋上に鉄塔が設置されているため一般的な構造物より頑丈で耐震性はある」としているが、本当に大丈夫なのか一度耐震診断をしておくべきだと思う。いずれにしても東日本大震災をみても分かるように、防災に関して「万全の対策」はない。いまのうちにできることをしておこう。(吉)