先日、 社団法人御坊青年会議所 (JC) の一般公開例会で、 青年海外協力隊として中央アジアのキルギスで活動を行った経験がある長村裕さんの講演を聴いた。 充実した内容で何かと勉強になった。
 まず青年海外協力隊と言えば海外でボランティア活動をする団体なので、 現地では歓迎されるものと思っていたが、 実際は違うらしい。 「日本人=お金」 としか思われていないようで、 「仕事はない、 金だけくれればいい」 という扱いで、 言葉がうまく通じないこともあって、 のけ者にされることも多いという。
 キルギスでの生活も大変で、 下痢は日常茶飯事、 風邪もなかなか治らず1週間もがき苦しむこともあるという。 衛生面もあまりよくなく、 毎日シャワーを浴びることができないし、 ティッシュはなくトイレや鼻を拭くときはわら半紙のような紙を使う。 「日本に帰ってきても落ちたものを食べられるようになりました」 と冗談交じりで話していたが、 現地では相当苦労したのだろう。
 長村さんは和歌山大学教育学部を卒業して進学塾で働き出し、 若くして校長になるなど、 いわゆるエリートで、 おそらく収入も安定していたのだろう。 そんな中、 「困っている人のために何かをしたい」 と、 肩書を捨てて苦労を覚悟で遠い外国の土地で2年間もボランティアに励んできた。 大学の卒業年からみて筆者と同じ30歳前後。 同世代ながら自分のことで手いっぱいな筆者とあまりに違いすぎることに感心させられるとともに、 いろいろ考えさせられた。 青年協力隊とまではいかないものの、「身近な人のためだけでも、 何かできることをしよう」と講演を聴きながら感じた。  (城)