長年記者をしていると、 取材対象の子どもたちの成長をリアルタイムで見られる。 身近でずっと見ているのと違い、 1年ごとのペースだとぐっと大人びていることに驚いたりする◆30代や40代の5~6年、 10代以下の5~6年の違いは大きい。 珠算や書道で小1の時に初めて取材した子が時を経て中学生になり、 きりっとした制服姿を見せてくれる。 あどけなかった顔を思い浮かべると感慨深い。 記事になるほどの成果を出し続けるには努力の継続が必要。 珠算も書道もすぐにやめてしまった筆者は敬服するばかりである◆ 「継続は力なり」 の出典はあまり知られていない。 調べると、 大正から昭和にかけて活動した宗教家住岡夜晃の「讃嘆の詩」だった。「継続は力なり(略)ただ一本道を走ってゆけ/一心になった時 何かができる/一本道になった時 腰がきまる/腰がきまった時 その心に輝きが出る」◆先日、 日高高校箏曲部の定演に観客として足を運んだ。 取材担当を離れて8年だが、 舞台に向かうたび、 研ぎ澄まされた音の世界への感動をもらえる。 昨年8月の全国高校総合文化祭で文化庁長官賞を受賞、 国立劇場で演奏。 5年連続の上位入賞となった。 これは同文化祭の歴史でも他に例がないという◆演奏する姿を見ていると、 「一心に」 という表現が自然に思い浮かぶ。 その姿勢が音に輝きを与えるのだろう。 部員が入れ替わろうともその心が受け継がれているからこそ、 個人を超えて 「継続は力なり」 が実現できる◆個人でもグループでも、 長い時間かけて取り組むことでのみ身につく財産は確かにある。 それを目の当たりにすることは、 多くの人にとっても力になる。  (里)