落語の演目「時うどん」。知恵の働く兄貴分とそうでない弟分が、うどんの勘定をごまかそうとするネタである。兄貴分がうどん屋をだますことに成功するのに対し、弟分が同じようにするものの失敗。寄席で観賞した際にはあまりに滑稽で仕事というのも忘れたほど。気分爽快だった。この寄席をきっかけに落語に興味を持つようになったが、笑いは、人を幸せのひとときに誘い、元気をくれる。
 台風12号で大きな被害を受けた日高川町の山開センターで1日、復興支援演芸会「がんばろら日高川町」が開かれた。県出身の芸能人5人が集結したが、筆者注目の桂枝曾丸さんと桂文福さんの寄席は会場も大爆笑。枝曾丸さんの和歌山弁落語には腹を抱え、文福さんの政治ネタなどの絶妙の言葉遊びに感服。筆者はまた仕事を忘れそうになった。地元演歌歌手日高光路さんと岡村康司さんは歌声、千田やすしさんは腹話術を披露し、会場は終始笑顔がいっぱい。文福さんはネタで「みんなで復旧がんばろう。笑顔あふれる町にしよう」とエールを送り、閉会後も5人は会場を後にする住民一人一人に握手で応援。住民は復旧復興への元気とパワーをもらった様子で、とてもいいイベントと感じた。
 笑いの効果は医学的にも実証されており笑うと免疫機能がアップ。がんや心臓病、糖尿病などのリスクも軽減する上、集中力や記憶力も高め、精神的な癒やし、美容にも効果があるという。笑いは元気の源。6日にも交流センターで寄席が開かれたが、こちらも大盛況。復旧復興に取り組む町民のため、地域のためにこれからも元気の源となるようなイベントの開催を願う。
       (昌)