だらしなかった前自民党政権、頼りなさに、だらしなさも加わってきている現民主党政権。既成政党に期待してもダメ。こんな状況の中で、今度こそ政治を変えてくれるとの願いが強かったのではないか。大阪府知事・市長ダブル選の結果をみると、そう思う。
 長年、国の舵取りを担ってきた自民党は年金や天下り問題への対応を失敗、景気回復も実現できず、民主党に政権を明け渡す。衆院選の圧倒的勝利で政権の座に就いた民主党は総理が次々と替わるうえに、言ったことをやらないで、やらないと言ったことを平気な顔でやろうとする。政権交代を支持した国民には失望感しか残らない。そんな時に行われたダブル選。「都構想」より何かを変えてくれるという期待の大きさが、地域政党・大阪維新の会候補者の得票に表れたのだろう。
 維新の会代表を「独裁者」と批判していた既成政党。そもそも、その独裁者を生み出したのは自分たちの政治にあると気がつかなければならない。年金、景気、雇用、医療。山積する課題を解決できなければ、強いリーダーシップで解決してくれるトップを求めるのは当然の心理であり、維新の会を圧勝させたのは有権者というより既成政党であったと思っている。よくいわれる「政治は結果責任」。独裁者と批判する前に自らの政治を省みていれば、その独裁者を生み出すことはなかったのではないか。
 維新の会の今後には、他地域の注目度も高い。あるサッカーのスーパースターの言葉のような「できないことを数えるより、できることを数える」という気持ちで臨んでほしい。「都構想」は大きな柱だが、まずは改革を一歩一歩、一つ一つ着実に進め、少しでも多くの「変えてほしい」という期待に応えることだと思う。 (賀)