「荒れる春場所」の言葉通り、大相撲三月場所の主役は誰も予想できなかった新入幕の尊富士。110年ぶりとなる新入幕優勝という快挙をやってのけました。
今回、知り合いにお願いし、14日目の升席のチケットを入手。幕尻尊富士が初日からまさかの11連勝。13日目までに優勝が決まってしまう局面を迎えましたが、12日目に大関豊昇龍が意地をみせて尊富士を投げ捨て、優勝決定は14日目以降に持ち越しとなりました。
私の目論見はまんまと当たり、14日目に尊富士が朝乃山に勝てば優勝。満員御礼の館内は異様な興奮に包まれました。ひときわ大きな晃之助の「はっけよい!」のかけ声が響いた瞬間、互いに右を差して胸が合い、朝乃山の寄りに尊富士があっさりと土俵を割りました。
前日までのスピード、力強さがなく、「あれ?」と思ったのですが、尊富士は花道を戻ろうとするも、歩くことができず車椅子で医務室へ。その姿に千秋楽は休場、110年ぶりの新入幕優勝も終わったかと思いました。翌日、尊富士は照ノ富士に背中を押されて土俵に上がり、豪ノ山を破って優勝。日本人に大きな感動を与えてくれました。
本書は、聖飢魔Ⅱのデーモン小暮閣下と漫画家やくみつるの両氏が、▽相撲は神事かスポーツか▽力士は技巧派と力相撲派に分かれるのか――などをテーマに語り合う対談本。会場での観客のマナー、時代の流れとともに変わりつつある応援の仕方まで非常に深く辛辣ではありますが、それもこれも愛する大相撲界がもっとよくなり、人気が出ることを願っての提案です。
少し前、11月の九州場所で、手拍子とともに力士の名前を連呼するコールがはやりましたが、閣下とやくさんは「サッカーじゃないんだから」とやめるよう指摘。また、結びで横綱が敗れたときも、座布団を投げる行為は許されません。この点、今場所は15日間を通して、そんなことは一度もありませんでした。(静)