県は14日、2024年度の当初予算案と重点施策を発表した。一般会計は6280億円、前年度比2・3%の増加で、過去最大となった前年度を142億円上回る規模。歳入のうち県税、地方交付税、臨時財政対策債などの一般財源は3445億円で、前年度比0・8%の減少。県税収入が減少する一方、実質的な地方交付税(地方交付税と臨時財政対策債)が増加する見込みで、一般財源の規模は前年度と同水準となる。

 歳出は人件費、公債費などの義務的経費が2358億円で、前年度比5・6%増。投資的経費は1093億円で、前年度比5・6%増。うち普通建設補助は551億円で、南紀・はまゆう支援学校再整備などの減額に伴い前年度比6%減。災害復旧は142億円で、台風災害の復旧などで前年度比112%増。

 補助費等は1643億円で、前年度比2・2%増。うちコスモパーク加太(和歌山市)対策は231億円で、土地開発公社が所有する土地借入金の代位返済に要する費用となり、予算全体の規模を押し上げる要因となった。

 今回の予算編成では歳入に49億円の不足額が出たため、県債管理基金を取り崩して補填(ほてん)。これで財政調整基金と県債管理基金の24年度末残高は計187億円となる見込み。前年度の財政危機警報発出時の想定を上回っているものの、今後も公債費、人件費、社会保障経費の大幅増や、物価・金利などの上振れで収支見通しは悪化。27年度末に2つの基金残高は計2億円まで減少、28年度末は底をつきマイナス99億円の試算となっている。

 新政策では「全ての人が希望を持って生き生きと暮らせる『ウェルビーイング(心身ともによい状態)』な和歌山県の実現」を掲げ、学校給食費の無償化や農林水産業振興、熊野白浜リゾート空港滑走路延伸などに取り組む。