供え物の菓子を手にする子どもたち

 中秋の名月の29日、子どもたちが各家庭を回って菓子や供え物を持ち帰る地域伝統の風習「お月見どろぼう」が日高川町の寒川地区で行われた。

 お月見どろぼうは子どもたちが供え物をこっそりと盗み取る中秋の名月の夜だけ許される風習で、全国的に行われている地域もある。

 寒川地区では20~30軒の家庭がお月見どろぼう用の菓子などを用意。小中学生ら十数人が懐中電灯を手に地区内を歩き、玄関前や軒先に供えられた菓子を見つけると、うれしそうにリュックサックや手提げ袋に詰め込み、満月の明かりの下、かばんは菓子でいっぱいになっていた。団子やコロッケなどを用意している家庭もあり、その場でほお張る姿もみられた。

 毎年菓子を用意している福島さとみさん(65)は「お菓子を取りに来てくれるのが楽しみです。最近はずいぶんと子どもが少なくなりましたが、地域に子どもがいる限りは続けていきたいと思います」と話していた。