「全国の方に印南町を知ってもらいたい」 と山本さん

 ふるさとの印南町を盛り上げようと、古屋地区出身の山本修さん(65)が神奈川県からUターンし、今年2月から地域応援インターネットサイト「古屋の里」を運営している。町内の農家と連携し、米や旬の農産物をネット販売するなど、全国に印南町の魅力を発信。有名IT企業で培ったスキルを活かし、生まれ育った地域の活性化に取り組んでいる。

 山本さんは和歌山高専卒業後、コンピュータ関連の多国籍企業IBMに入社し、システムエンジニアやプロジェクトマネジャーなどを経験。定年退職後はアップル社に入り、東京都渋谷区の販売店でPCやスマートフォンの修理業務に携わった。Uターンする予定はなかったが、昨年3月、倒れて入院したことを機に「故郷へ恩返しになることがしたい」と決意。実家に戻り、活動を始めた。

 サイトは近所に住む農家の「作った米がなかなか売れない」という声を受け、販売する場所を作ろうと立ち上げた。町内から希望者や協力農家を募り、旬の農作物を希望価格で販売する。より多くの人の目に留まるよう、検索エンジンで上位にサイトが表示されるよう設定を行い、販売開始から2カ月で全国各地から注文が届くようになった。

 販売する農作物のブランド化を目指し、オリジナルキャラクターも制作している。高品質で美味しい品はスズメの「すずちゅん」、訳あり品は犬の「れんげちゃん」、農作物以外の山菜や葉っぱなどはミツバチの「みつばちゃん」のマークを付け、サイトにも登場させている。今後はこれらのキャラクター動画も制作し、子どもたちにも親しんでもらえるようPRを行っていくという。

 ほかにも、町と連携してふるさと納税支援サイト「ふるさといなみ町」を運営、梅の木のオーナー制度などオリジナル返礼品の掲載や、地区のネット回覧板のサービスなども手がけている。

 山本さんは「みんながうれしい」を基本理念に、住民と一緒に活動に取り組んでいければと考えており、「サイトを通して印南町を有名にし、将来的にはこの町に住みたいと思う若者を増やし、人口の増加につなげていければ」と話している。