新型コロナの新規感染者は県内はじめ全国的に着実に減っており、第3波はいったん沈静化に向かっているといえるだろう。人が集まるイベントは中止、外出の自粛、多くの国民の行動変容によって感染爆発を防いでいる。一方で、観光や飲食関連業者などは影響をもろにうけて大打撃を受けたままだ。本当に必要なところへの支援は行き届いているのだろうか、決してそうではないのが現実だ。先日、みなべ町内の飲食業者でつくる組合のメンバーが小谷芳正町長に窮状を訴えた。

 飲食店や民宿、居酒屋、マリンレジャー、遊漁船の経営者らが苦しい現状を説明したのは既報の通り。皆が声をそろえたのは、昨年春、全国に初めて緊急事態宣言が出された時よりも厳しいということ。お客さんは本当に少なく、このままでは倒産してしまう店も出てくるのではないかという不安、飲食店に納入している酒類、魚や野菜など食材関係者も苦しんでいることなど、現場の生の声は胸に刺さる。一方で、和歌山県は緊急事態宣言が出ていないため、時短営業協力店に支払われる国の協力金もない。

 緊急事態宣言が出ていなくても行動の自粛は宣言下の都府県となんら変わらない。客は少ない上に何の支援もない、宣言下の都府県よりも過酷な状況にあるといえるだろう。「なんかおかしいよね。もっといい方法があるように思うけど」、コロナ禍になってからこの思いが消えることがない。本当に必要なところに効果的に支援する、相当難しいことだが、国民が求めるのはそういうことだと思う。現場の状況を知らなければ支援策も出てこない。住民はもっと声を上げていいと思う。(片)