みなべ町は28日、梅が新型コロナなどウイルスの増殖抑制に効果があるかどうかの研究を行うと発表した。9月2日開会の議会定例会に関連予算を提案する。検証は、これまで梅が持つ数々の機能性を研究し有効性を証明してきた県立医大の宇都宮洋才准教授と東海大学が行う。新型コロナ禍、梅の抗ウイルス作用が実証されれば大きな注目を浴びそうで、研究に期待が集まっている。

 研究の中心となる宇都宮准教授が、28日の議会全員協議会で研究内容を説明した。

 宇都宮准教授はみなべ町と共同でこれまで20年間、梅が体にいいとの言い伝えを科学的、医学的に研究し、胃がんの原因とされるピロリ菌の活動を低下させることや季節性インフルエンザウイルスの増殖抑制、発がん抑制効果、糖尿病、骨粗しょう症にも効果があることを突き止め、発表。梅の機能性を証明することで、梅の消費拡大に大きく貢献してきた。

 今回は世界中で人々の生活や経済に大きな影響を与えている新型コロナウイルスにも効くかどうかを実証実験する。住民の間でも「インフルエンザに効くのなら、新型コロナにも効果があるのでは」との声が多くあり、みなべ町が事業主体となって検証することにした。9月の一般会計補正予算案に梅の機能性研究委託事業費2000万円を計上している。

 宇都宮准教授によると、▽梅から抽出される物質が抗ウイルス活性を有するか▽免疫細胞の過剰反応で起こる炎症性サイトカインストームを抑制するか――について2段階で検証する。第1段階ではモデルウイルスとしてインフルエンザやノロウイルス、通常の風邪の原因となるヒトコロナウイルスなどで実験し、効果を立証した上で第2段階の新型コロナウイルスで検証する計画。検査方法は、プラーク法やリアルタイムPCR法などで、梅抽出物の量や濃度を変えながら、抗ウイルス作用など実験を繰り返してデータを積み上げて検証する。

 宇都宮准教授は「これまでの梅の研究実績を基に機能性を実証したい。時間をかけて、コロナ後遺症への効果なども検証できれば」と実験に意欲をみせた。

写真=研究内容を説明する宇都宮准教授