梅の収穫時期の大きな課題となっている労働力不足改善へ向けて、県農協青年部協議会長の中早大輔さん(38)=みなべ町西岩代=らが中心となって、JA青年部員同士の労働力交流を実践している。JAながみね青年部員でミカン農家の男性が、中早さん宅の収穫や選果を手伝っており、冬のミカン収穫時期にはみなべから応援にいくことで互いに労働力を確保する取り組み。今後は他の産地にも広げていく考えだ。

 日本一の梅の産地みなべ町でも高齢化や後継者不足などから収穫時期の労働力確保が大きな課題となっている中、互いに収穫作業を助け合おうと、昨年から始まった。JAながみね青年部員5人が昨年6月、みなべ町内のJA紀州青年部の梅畑で作業を手伝った。12月には紀州から5人がながみねの部員宅でミカン収穫を行い、互いに交流を深めた。

 今年は新型コロナウイルスの影響で青年部という組織的な取り組みは中止したが、中早さんが、昨年も来てもらったJAながみね青年部副部長でミカン農家の前山明日規さん(27)=海南市下津町=に個人的に協力を依頼し、快諾を得た。前山さんは2週間前から検温等を行い、15日から17日までの3日間、アルバイトとして梅の収穫や選別に汗を流した。

 前山さんは下津町で温州ミカンを3・6㌶栽培している。梅の収穫時期の今は消毒作業を行うぐらいで、比較的時間に余裕があるという。ながみねでも労働力不足は課題の一つで、前山さんはハローワークで募集していたが、ドタキャンされることもあり人手の確保には苦労している。青年部同士の交流は確実に人員が確保できることが大きなメリットという。「互いに毎年行き来することで、収穫作業にも慣れて効率も上がっていくと思います。これからも交流を続けていきたい」と大きな期待を寄せている。中早さんは「ながみねはもちろん、有田など他のミカン産地、さらには紀北の柿農家など交流を広げていきたい」と話した。

写真=岩代で梅の収穫作業を行う前山さん