緊急事態宣言が39県で解除され、感染拡大防止対策を継続しながら、経済活動を再開させていく新たな局面に入った。政治的にはアクセルとブレーキ、知事の的確な状況判断が求められる。

 ようやく薄日が差し始めた矢先、ロサンゼルスの市街地で大規模な爆発が起きた。死者は出ておらず、消防士11人が負傷、事故の可能性が高いが、米国で爆発と聞けば誰もがテロを想像したことだろう。

 今回のコロナも人工ウイルスではないかとの疑いは根強い。人の命を奪い、社会を混乱に陥れ、国の経済が止まってしまう点では巨大地震をしのぐ破壊力があり、テロの可能性も含めて発生源の究明と対策は必要だ。

 未知のウイルスに対し、日本は国防としての対応力が脆弱だという批判は小さくない。台湾やシンガポールは日頃からバイオテロに対する危機意識が高く、その対応は法の下に強制力が伴い、自国の安全は平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する日本とは根本的に違う。

 そんな日本で25年前、大都市住民を狙った化学兵器による無差別テロが起きた。その化学兵器が作られたのは、現場の東京から直線距離で100㌔以上離れた富士の裾野。テロの準備は人目につかない地方で進む。

 戦争や自然災害と同様、避難所の運営や医療の確保など、ウイルスやテロに対しても素早く対応できるよう、地方自治体も包括的な備えが必要。当然、地図上の行政の枠を超えた広域連携も欠かせない。

 今後、リーマン以上の衝撃が予想されるなか、由良町と御坊市で新たなリーダーが誕生した。10年、20年先を見据え責任ある決断を下し、実行していくため、伴う痛みにも住民から理解を得る説得力を持って前進を。(静)