先日、印南町でかつお節発祥の地のブランド力を生かした魅力発信拠点づくりの一環で、かつお節削りの体験型観光ワークショップが行われた。詳細は既報の通りで、家族連れら125人が参加。「本枯鰹」の削りを体験したり、おかかご飯やかつお節でだしを取った豚汁を試食。子どもたちの笑顔があふれ、おおむね大成功だった。

 今回のイベントは新たな観光開発メニューの実証実験も兼ねており、今後は参加費や実施時間の設定などが必要。受け入れ人数も多すぎれば対応するスタッフの確保が難しくなるので、観光バス1台分ぐらいがちょうどよいのかもしれない。

 参加者のアンケートでは「屋外でのイベントだったので風が強く、ご飯に乗せたかつお節が飛んでいった」「音響がよくなかった」などの貴重な意見もあった。確かに、かつお節の製法を開発し、広く日本に伝えた印南三漁民の顕彰碑がある、印南漁港でイベントをする意義は大きいが、削る体験は調理室がある公民館などでもよかったかもしれない。もし年中を通して観光客が来るようになったら、真冬や真夏に屋外は厳しい。公民館だとある程度の料理器具もそろっているのでスタッフの負担も減らすことができる。三漁民の顕彰碑はかつお節削り体験の前か後に見学にいけばいいだろう。

 魅力発信拠点づくりでは、ペン型のかつお節を開発できないかという話もある。鉛筆削りのようにかつお節を削るアイデアで、個人的にはお土産品としてもおもしろいと思う。いずれにしても眠っていた発祥の地という唯一無二のブランドが、少しずつ目を覚まそうとしており、今後のまちづくりに大いに期待したい。(吉)