御坊市で先日、認知症の人とともに築く総活躍のまちシンポジウムが開かれ、認知症の当事者や地域住民、介護サービス事業所の関係者ら約100人が参加。若年性アルツハイマー型認知症の丹野智文さん(45)=仙台市=が講演し、周りの環境が良ければ笑顔で楽しく前向きに生きられると、本人視点から認知症の人とともに築くまちづくりへメッセージが送られた。

 丹野さんは自動車販売会社の営業マンとして働いていた39歳のとき、若年性アルツハイマー型認知症と診断を受けたそう。ちょうどいま39歳の筆者。認知症について「自分ごと」ととして考える機会になった。筆者自身の認知症に関係するエピソードといえば、20代半ばのころ、若年性アルツハイマー症と診断された妻と夫のラブストーリーを映画館で鑑賞。「大切な人がこんなになったら…」と一人で号泣したのを覚えている。

 数年前、その映画で重ね合わせた祖母が認知症になり、一晩大泣き。以来、普通に接しながらも会う機会は少なくなっていった。自分が悲しまないよう避けていたのかも。祖母が他界し、いまさらだが反省と後悔をしている。シンポジウムで丹野さんは、苦悩しながらも周囲の理解や支えで、楽しい人生を再構築しているという話を披露。一つ一つのエピソードが心に響いた。

 丹野さんは「認知症になっても周りの環境さえ良ければ笑顔で楽しく過ごせる」と、人と人のつながりが当事者を笑顔にすると力を込めた。介護の仕事をしている妻に聞くと、認知症の人と接するときに大切なのは「恥ずかしい思いをさせないこと」。認知症の人とともに築く総活躍のまちについて理解を深めよう。(笑)