日高川町の和歌山南陵高校2年生19人が11日から3日間、みなべ町や印南町の農家で南高梅の収穫を手伝うことになり、30日にみなべ町の梅振興館で事前学習に臨んだ。南高梅はJA紀州の主力品種だが、近年は労働力不足が問題となっており、少しでも人手が欲しい生産者にとっては大助かり。学校としても地域産業を知る絶好の機会で、両者の思いがマッチした取り組みは、今後のモデルケースとしても注目を集めそうだ。

 南陵高校は地域とのつながりを重視した教育を行っており、今年は日高地方の地域活性化イベント「御坊日高博覧会(おんぱく)」に初参加。竹下遼教頭が出席した説明会で県農協青年部協議会長を務める中早大輔さん(37)=岩代=と出会い、梅農家の現状を聞き、おんぱくとは別に梅の収穫を体験することになった。

 スポーツコースの2年生で、午後からは部活があるため、体験はいずれも午前中。印南町とみなべ町の7、8軒の農家で貴重な人員として収穫を手伝う。事前学習では、みなべ町うめ課職員から梅がどのようにしてできるかや収穫、出荷の流れを学び、受け入れ農家とも顔合わせした。

 竹下教頭は「本校は県外から来て寮生活している生徒がほとんどで、梅という和歌山を代表する農産物について学び、地域とのつながりも深められるいい機会。生徒は梅収穫を通じて人に感謝される喜びを感じ、生産者の皆さんには南陵高校について理解を深めていただければうれしい」と期待。中早会長は「短期間でも人手不足解消につながりますし、次代を担う高校生に梅産業を理解してもらうことは意義深い。ミカンや花などほかの生産農家でも同様の取り組みを展開するきっかけづくりにしたい。将来的には県内の高校との連携にも広げていきたい」と話している。

写真=梅振興館で事前学習する南陵の生徒