千葉県で、実父から虐待を受けていた小学4年の女児が死亡した事件。通っていた小学校で女児が「お父さんからぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」とSOSを出したいじめアンケートを、父親に見せていたというあまりにも不適切な対応には怒りを通り越してあ然としてしまった。千葉県に引っ越してくる前に住んでいた沖縄県の担当者からの引き継ぎが不十分だったこと、一時保護から父親の元に女児を帰した千葉県の児童相談所の判断の甘さなど、報道を見る限り、不適切だったと言われても仕方がない。

 虐待を受けて死亡する事件が後を絶たない。今回の事件でもそうだが、「どこかで止められたんじゃないのか」という思いは誰しもある。しかし、ではどうしていたら本当に女児を助けることが出来たのだろうか。残念ながら知識が浅い筆者には分からない。テレビ等でも不適切な対応の批判はよく聞くが、「なるほど」と納得できるような対応策を提案している人は見たことがない。ケースは個別に違い、それだけ難しい問題であるということなのだが、では防ぐことはできないのだろうか。

 同じような事件は何度も起こってきたが、その後、あの事件はあの時点でこのような対応をしていれば防げた可能性が高い、という検証結果を見たことも聞いたこともない。検証されているのかどうかも分からない。逆に、適切な対応によって救われた事例もあるだろう。そのような情報を専門機関だけでなく、皆が共有することが、地域でのセーフティネットを構築する第一歩ではないだろうか。事件になって初めて明るみになるが、いまも虐待に怯え、苦しんでいる子どもがいると思うと胸が痛い。(片)