日高町比井と志賀の小学校統合問題に、大きな変化が出てきた。去る16日に比井小で開かれた統合の保護者説明会は既報の通りだが、ほとんどの出席者から「統合は仕方ない」という声が出されたのが印象的。昨年5月と10月の説明会では反対の声が目立ったが、一転。理由は「児童数が減っているのでやむを得ない」「中学校で一緒になるので、小学校から大人数に慣れておく方がいい」など。昨年の説明会から1年余りの間に、保護者同士で話し合ったり、地域の意見も聞いたりして考え方が変わってきたそうだ。

 ただ、一部には「今後、入学生が1人になるのでかわいそう」などと早い段階での統合を望む声もあったが、多くの保護者は地元に小学校が存続することを根本的には望んでいるように感じた。つまり、統合に賛成ではなく、複雑な思いのまま、消極的な容認とでも表現したらいいのだろうか。やはり保護者の中には「うちの子どもは比井小で卒業を望んでいるのに、志賀小へ行くようになって大丈夫だろうか」などの不安も根強く残る。

 まだ統合が決定していないのに、先走った話をするとしかられるかもしれないが、仮に統合に向かって進むなら、子どもや保護者が複雑な思いや不安を抱えていることを町はしっかり受け止め、対応していただきたい。その上で保護者には「統合は仕方ない」と落胆するのではなく、統合を機により一層素晴らしい教育環境になるよう前向きな意見や提言を期待。今回、説明会を通じて町と保護者らが話し合いの場を持てたのはいい経験で、子どもたちのために保護者、地域、学校の連携がさらに深まることを願う。(吉)