南部川漁業協同組合(永井誠組合長)が10年ほど前に南部川上流域の支流に放流したアマゴが、繁殖して生息している可能性があることが分かった。同河川では、これまでアマゴは見つかっていなかったが、最近になって地元住民が放流場所付近で生息を確認。同漁協では近く再度放流することを決め、「アマゴを通じて自然に親しむ環境をつくりたい。将来的には渓流釣りもできるようになれば」と話している。

 アマゴは魚体にパーマークと赤い斑点があるのが特徴で、渓流の女王とも呼ばれている。水温の低い河川の上流域に生息する。南部川では20年ほど前に西本庄地内の玉川で捕獲されたことがあるが、その後はほとんど確認されていなかった。

 漁協では10年ほど前、上流域の支流などに3~4年間かけて年間200~300匹程度のアマゴを放流したことがある。それ以降は放流していないが、最近になって地元の住民がアマゴが放流した場所付近で生息していることを発見。漁協組合員が捕獲を依頼したところ、体長10・5㌢のアマゴをたもですくったという。体長からみると、昨年11月下旬ごろに産卵され、ふ化したと考えられる。他の場所で「アマゴを見た」という情報もある。

 漁協では、8月に水温を測り、夏場でも21~22度と比較的低く、アマゴの生育に適していることを確認。みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会の補助金を活用して、11月中にも約3000匹を放つ。今後3年ほど続け、状況をみて判断する。同漁協では「将来的には、渓流釣りができる環境になれば、遊漁券を販売することも検討していきたい」と話している。

写真=南部川で捕獲されたアマゴ