5月27日から今月3日にかけて、美浜町吉原の松原地区高台津波避難場所を使った訓練、行事が相次いだ。27日には御坊市の新町地区自主防災会連絡協議会が避難訓練を行い、約80人が参加。29日は松洋中学校の避難訓練があり、生徒167人が学校から走って高台の頂上を目指した。今月は2日に美浜町の主催で、避難、炊き出し訓練を実施。開始合図の町内放送から約20分後には500人ほどが集まり、腰掛けを取り外せばかまどとして使用できるようになる「かまどベンチ」で湯を沸かす訓練も行われた。翌3日には頂上部分で、「ええやんMIHAMA夕暮れ市」が開催され、町内外から多くの買い物客が訪れた。
 高台が完成したのは昨秋だが、「初めて頂上に来た」という人も多かった。松洋中生徒はほとんどがそうで、これらの訓練、行事は大変有意義だったと思う。津波が到達するという20分以内に逃げ込めるか。体験してみないと分からないこともある。ベビーカーに赤ちゃんを乗せていた女性からは「最後の坂道を一人で押して上るのは大変」との声が聞かれ、子どもの命を守るための参考になったと思う。
 標高15・5㍍の高台に登ると町並みが一望できるほどの高さに安心感も得られ、津波の際に行きやすくなる。夕暮れ市は、訓練に参加しない人へのアプローチとして、いい取り組みであろう。美浜町防災企画課で確認したところ、高台は常に開放しており、「公園のような集い、憩いの場にしていきたい」との考え。マナーやルールを守れば結構自由に使用でき、物品販売、かまどベンチの使用も町に問い合わせるとよい。行政だけでなく地域住民も、高台利用につながるアイデアをどんどん出してほしい。    (賀)