みなべ町晩稲、西山浄土宗光明寺(和田教完住職)の盆行事の「六斎念仏」がことしは中止となった。県の指定文化材にもなっているが、保存会のメンバーが少なくなり、5人のうち2人が体調不良となっていることが理由。
 六斎念仏は400~500年ほど前、晩稲地内の下の尾地区に旅の僧侶が長期にわたって滞在し、住民に経を伝えたのが始まりとされる。経は「七つ子」「賽の川原」「六字訓」「四方拝(いざら)」「山ごもり」「身売り」の6曲で、1曲15~30分。戦前は同寺の盆行事として有名だったが、戦争で一時中断。戦後、寺や檀家信徒の努力で復活し、現在は保存会のメンバーが14日から23日まで本堂や地蔵堂、英霊堂などなどを回って経を唱えている。昭和44年4月に「紀南地方における浄土宗の教えの隆盛を物語る仏教芸能の一つで、文化遺産としての価値が高い」として県無形民俗文化財に指定された。
 保存会では「メンバーが高齢化し、若手の後継者が見当たらない。ことしは2人が体調を崩しているため中止にした。保存会自体は解散はしておらず、来年はできるようにしていきたい」としているが、メンバーの減少で継続が危機的な状況となっている。