若者のひきこもり回復支援の研究で知られる和歌山大名誉教授の精神科医宮西照夫氏(67)は、美浜町で活動拠点づくりを進めており、今月から毎月1回、自助グループの集い「アミーゴの会」をスタートさせる。ひきこもりから立ち上がろうとする人が支援者の専門家とともに語り合う集団心理療法で、同時にメンタルサポーター(ひきこもり経験のある支援者)も養成。第1回は27日午後3時から開く。
 若者の社会的ひきこもりは1990年代から社会問題となり、その数は現在、全国で約70万人、うち半数は回復手段がないまま10年以上の長期ひきこもりになっているといわれている。宮西氏は昭和57年、和歌山大保健管理センターの精神科医となり、長年の取り組みで蓄積したデータを基に平成14年、集団療法を軸としたひきこもり回復支援プログラムを完成させた。その後は岩出市にある紀の川病院の副院長としてひきこもり研究センターを開設し、専門外来での診療、ショートデイケアや地域とかかわりながらのアウトリーチ型支援で若者の回復をサポートしている。
 昨年10月には、美浜町和田の自宅近くにひきこもり研究所と社会復帰を目指す若者が共同生活を送るシェアハウスを開設。現在、研究所では毎週木曜午後3時から6時までひきこもりの相談(有料)を受けており、さらに今月からは毎月第4土曜の午後3時から6時まで、自助グループ「アミーゴの会in美浜」を開設する。
 アミーゴとはスペイン語で「気の許せる仲間」という意味。毎月1回の集いはひきこもり状態から抜け出し、社会に踏み出そうとする若者の支援を目的に、同じ境遇にある若者たちと医師、臨床心理士、ジョブコーチ(職場適応援助者)、PSW(精神保健福祉士)ら専門家が集まり、回復に重要な「仲間づくり」の場とする。
 自助グループにはこれら専門家のほか、自身もひきこもり経験のあるメンタルサポーターが必要。現在は日高地方に2人しかおらず、当面、アミーゴの会はこのサポーターの養成の場ともなる。
 宮西氏は「ひきこもりの若者が最も必要としているのは親でも学校の先生でもなく、自身もひきこもった経験があり、気持ちを理解し、つらさを共有してくれる仲間です。そのサポーターとのつながりから、失っていた自信を取り戻し、社会へ踏み出す勇気と力が芽生えます。アミーゴの会は病院ではなく、たまり場のようなもの。不登校やひきこもりで悩んでおられる本人、家族は気軽にご参加ください」と話している。
 アミーゴの会in美浜への参加は無料。問い合わせは宮西氏℡0738-22-6510