カレーチェーン店の廃棄カツが、廃棄を請け負った業者によって不正転売されていた事件が連日報道されている。この業者は廃棄したように見せかけて実は別の業者に転売し、スーパーなどの店頭に並んでいたのだから悪質極まりない。カレーチェーン店にとどまらず、さまざまな大手食品会社の廃棄品も転売し、中には賞味期限が過ぎたものもあったというのだから開いた口がふさがらない。すでに口にした消費者も多かろう。健康被害が出ていない点が唯一の不幸中の幸いだろう。
 悪質業者に弁解の余地はないが、疑問が一つある。健康被害が出ていない点からも、廃棄される食品は品質上は問題なく食べられるものも多いのではないのか。もちろん廃棄する側はルールに従っているので、今回のようにカレーチェーン店などはきちんと決まりを守っていたということ。だからこそ、廃棄処分のルール自体を見直す必要があるのではないのかという疑問である。品質的に問題のあるものは廃棄されて当然だが、そうでないものも処分されているのなら、もったいないの思いは消えない。
 政府広報などによると、日本の食品廃棄量は年間約1800万㌧で、このうち期限切れや売れ残りなど本来は食べられたはずの、いわゆる「食品ロス」が500~800万㌧にのぼるという。日本人1人当たりに換算するとおにぎり1~2個分で、飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(年間約390万㌧)を大きく上回る数字だ。食品メーカーやレストランだけでなく、家庭で排出される廃棄物もこのうち200万~400万㌧あるという。家庭での食べ残しを少しでも減らす。わたしたちにできることがあるだろう。(片)