9月17日に韓国南部の内陸部、潭陽(タミャン)郡で開幕する2015潭陽世界竹博覧会に、日高町原谷特産の黒竹が出展される。世界各国の竹を扱う企業約40社が集まって商品などをPRする「海外企業館」の一角に、黒竹生産・加工・販売㈲金﨑竹材店(原谷、金﨑昭仁社長)の加工品が並ぶ。全国一の生産量を誇るといわれる原谷の黒竹も国内での需要が伸び悩むとともに年々衰退傾向にあり、金﨑社長(56)は「このチャンスを販路拡大につなげ、地場産業の振興を図りたい」と海外発信へ意気込む。
 世界竹博覧会はことしが10回目。会場は韓国一の竹の産地として知られる潭陽郡の竹緑園一帯で、10月31日までの45日間開催。来場者は国外2万人を含む約90万人を見込んでいる。期間中は「竹に関する教育、環境、文化、産業などの情報交流を通じて、観光資源化と研究、投資の推進」「竹を活用した文化観光、生態環境都市確立」などを目的に、竹文化・産業の国際交流展、学術会議、各種イベントなどが行われる。「海外企業館」のブースには韓国をはじめ、日本、アメリカ、インドネシア、台湾、インド、中国、オーストラリアなどの企業が集まり、国内からは初出展の㈲金﨑竹材店を含めて3社が参加する。
 ㈲金﨑竹材店は昭仁社長と後継者の長男・弘昭さん(27)ら家族で経営。昭仁さんが3代目、創業約100年の歴史を持つ。年間30万本以上の黒竹を取り扱い、取引先を通じてインドネシアにも輸出しているが、近年は国内の不景気や日本建築の減少などで需要が伸び悩み、販路拡大が大きな課題という。世界竹博覧会へは同店が加盟する全日本竹産業連合会から出展の打診があり、主催者に申請したところ認可を受けた。会場には長さ4㍍と2㍍、直径1・5㌢から4㌢までの商品約100本を展示し、開催期間中の4、5日間、金﨑社長も出向いて黒竹のPRを行う。
 出展する黒竹は、切り出して乾燥させたあと1000度の火であぶり、油分を浮き上がらせてふき取る作業を行うことで光沢を出したもの。家具の材料や室内装飾などに使われるといい、金﨑社長は「世界各国、多くの人に見てもらって、黒竹のよさを知ってもらいたい」と世界発信を通じて地場産業の振興を図りたい考えだ。
 日高町役場産業建設課の資料(平成23年作成)などによると、原谷には約60㌶の黒竹の竹林がある。黒竹は「天然の艶と風雅さ」が特長で、釣り竿、建築装飾材、家具、竹垣、民芸品などに用いられてきた。明治27年ごろに移植が始まり、第一次大戦後には神戸の貿易商を通じて海外へも輸出されていた。区内では黒竹にかかわる世帯がピーク時の3分の1以下の20~30軒程度に落ち込んでおり、生産や加工の事業所は2社しかないという。