台風11号による大雨で地すべりの危険があるため、みなべ町熊岡地内の住民14世帯51人が10日朝から区民の会館などに避難している。現場に設置している地盤の動きを測定する伸縮計の数値が上昇したためで、町が避難指示を発令した。小谷芳正町長は「専門業者の現場確認を待って対応を判断したい」とし、11日正午現在も帰宅には至っていない。
 地盤のずれが確認されているのは熊岡地区と晩稲地区にまたがる山の斜面で、愛宕神社近くの小高い山。以前から少しずつ地面が移動しており、現場の異変を感知する伸縮計を設置していた。台風の大雨によって地盤のずれを示す数値が大きくなり始め、町では10日午前5時に区長を通じて対象住民に避難準備を連絡。7時から8時までの1時間で3㍉を超える地盤の動きが確認され、8時半に消防団を通じて14世帯51人に避難指示を発令した。住民らは区民会館に移動。その後、避難者の大半が国民宿舎紀州路みなべに移って一日を過ごした。避難中の男性(54)は「なんとか早期に地すべりの対策を講じてもらいたい」と不安そうな表情で話し、10日に見舞いに訪れた小谷芳正町長は「11日の午前中には専門業者が現場確認を行うことになっている。その結果をみて対応を判断していきたい」と話していた。熊岡地区周辺では、8~10日の3日間で8月の平年雨量の2~3倍に当たる306㍉の雨量が観測された。
 県は25年度から18カ所で調査ボウリングなどを実施。ことし10月から対策工事を計画していた。