御坊市島、会社員北野高輝さん(50)がこのほど、沖縄県宮古島でハタ科に属する超大物の「タマカイ」(体長1・51㍍、重さ61㌔)を釣り上げた。磯からの一本釣りというスタイルでは国内最大級で、大物釣りのメッカとされる宮古島でもこのクラスは十数年ぶり2匹目。通称「通り池」と呼ばれるポイントでの釣果で、地元メディアなどでは通り池の〝ヌシ〟を仕留めたとして話題となっている。
 タマカイはハタ科最大の魚で、インド洋から太平洋にかけての海域のうち、ペルシア湾を除く海域に広く分布。クエと同じく食べると美味で高級料理として食される。最大で400㌔まで成長するといわれ、「ハタの王」「魚のボス」と呼ばれることもある。沖縄では「ヤイトハタ」などとともにハタ科の魚を総称して「ミーバイ」と呼ばれている。北野さんは釣り歴30年以上のベテランで、パワー勝負となる大物釣りの魅力に取りつかれて年間7、8回は宮古島で釣り糸を垂らしており、現地では大物釣り師としてよく知られて弟子入り志願もあるほど。実は昨年9月、自身最高記録となる重さ43㌔のヤイトハタを釣り上げたところだが、今回で大きく更新。鍋にすれば100人前以上は余裕で取れるサイズだ。また、漁船から網漁で超大物が水揚げされることがあるが、磯からの一本釣りでの釣果は非常に珍しいという。
 宮古島では、今月5日午後3時にポイント入り。ビッグヒットが来たのは6日午前0時ごろで、「ずしん」と来る重みと竿が海中に引き込まれるほどの強烈な引きに武者震い。100号の釣り糸でも緩めると岩場でこすれて切れてしまうため、まさに力と力のぶつかり合いでリールを巻き上げ、数分で勝負を決めた。海から引き揚げるのは、用意していた滑車でうまくいったが、乗ってきた車まで300㍍の距離を運ぶのは1人では難しいと判断。朝まで待って友人を呼び、救命用の担架を使った。
 今回の釣果には大満足の表情を浮かべながらも、「宮古島は大物釣り師にとって夢とロマンあふれる場所。次は前人未到の100㌔クラスを釣りたい」と目を輝かせている。「あくまで釣ることが楽しみ」とも話し、魚拓を取ったあとは惜しげもなく友人にプレゼントした。