県は29日、和歌山市東部の梅栽培園で、果実を落下させるなどの被害をもたらす「ウメ輪紋ウイルス(プラムボックスウイルス)」を確認したと発表した。昨年初めて発見された園地に隣接する場所。もし梅の主要産地の日高地方や西牟婁地方などにまで拡大すれば、大きな被害が発生する。
 ウメ輪紋ウイルスは梅やモモなどに感染。感染樹は落果したり葉に紋が出る被害が発生する。アブラムシによって媒介されるほか、感染した植物の苗や穂木などの移動で感染が広がる。
 昨年5月に県が行った独自調査により和歌山市東部で計19本の梅の木から感染樹が確認されたことを受け、県と農林水産省神戸植物防疫所が先月30日と今月1日の2日間にわたって昨年の発生場所周辺で調査を実施。対象は半径500㍍圏内の梅、モモ、スモモの計51園地(864本)と民家の4戸18本。結果、梅の1園地で2本の感染樹が確認された。県はアブラムシが葉についてウイルスが媒介しないよう感染樹の枝を切るなどの対策を進め、今後は感染樹の廃棄処分を行う。県は昨年度から2カ年で県内の梅とモモなど合わせて計2万検体(4000区画)を独自調査しており、本年度も1万検体(2000区画)を調べる。
 国内では平成21年に東京都青梅市で初めて確認され、以後は神奈川、茨城、埼玉、滋賀、奈良、兵庫、大阪でも発生。昨年には三重県でも見つかり、和歌山県を含めてこれまでに10都府県で確認されている。県は3月に制定したウメ輪紋ウイルスの蔓延防止条例に基づき、梅、モモ、スモモなどについて和歌山市から他の市町村への果樹(種子と果実を除く)の移動を制限している。感染した木の果実を食べても人体に影響はない。