4月からの消費増税に伴う駆け込み需要や円安の影響で、木材価格が上がっている。9日に開かれた田辺市の龍神村森林組合(真砂佳明組合長)の初市では、スギ・ヒノキの1立方㍍当たりの平均価格が昨年より約3割高となる1万5739円で取引された。真砂組合長は「これから景気が本格的に回復し、木材価格に反映することを期待したい」と話している。
 龍神村森林組合の市は昭和47年から開設。同55年には1立方㍍当たりのスギ、ヒノキの平均が7万円を超えたこともあったが、以後は外国材に押されて低迷が続き、年々右肩下がりで推移。これまでの平均価格は3万5000円程度だが、平成24年7月に開かれた市では過去最低の8000円台にまで落ち込んだ。木材は北欧からの輸入が多く、当時のユーロ危機によるユーロ安なども影響したとみられる。回復の兆しを見せ始めたのは昨年9月ごろからで、4月から消費税が5%から8%に上がることを受けての駆け込み需要が影響。アベノミクスによる円安で国産材の競争力が高まったのも要因だという。ことしの初市にも反映され、スギは1立方㍍当たり1万5300円で、昨年の1万2100円より26%アップ。ヒノキも1万7000円で、昨年の1万4800円より15%高となった。全体では1833立方㍍が販売され、2885万円の売り上げ。
 幸先の良い出足に、真砂組合長は「消費増税による駆け込みが終了しても、円安に期待できる。景気が回復し、木材価格が高値で維持できることに期待したい」と話している。