市議会産業厚生常任委員会(中野武一委員長)が13日に開かれ、付託議案の審査終了後に薗地内、地震津波避難タワー建設工事の入札延期問題で協議した。その中で委員からは執行部に対して「業者の申し入れで入札を延期したが、配慮しすぎではないか」「将来の入札に不安を残す」など、厳しい批判や疑問の声が相次いだ。
 同市では先月22日に津波避難タワーの入札を行う予定だったが、指名7業者から「1億1230万円の入札予定価格が低すぎて仕事ができない」と指摘を受け、急きょ延期した。委員会では最初に執行部が「設計と入札予定価格を再チェックしたが、市の積算額に不備は認められなかった。市ではメーカー仕様の鋼材の定価に対して一定の低減率をかけて価格を算定しているが、メーカー側が入札参加業者に対して提出した価格が定価のままであったため、市との価格設定に乖離(かいり)があった」と説明した。しかし、委員からは「市の算出方法に間違いがないのではあれば、入札をやめる必要はない。市内で参加業者がないのなら、市外業者を対象に入札をすべきではないか」、「他の事業の入札でも業者から申し入れがあれば同じように延期するのか」などの声が上がり、「業者の談合と言われても仕方ないのでは」との指摘もあった。
 執行部側は「メーカーが言う価格では、入札業者も努力できる数字ではなかった。仮に市外業者を対象に再入札しても同じように入札参加がないと考えられる。また、今回の避難タワーは全国でも類を見ない規模(800人収容)であり、特殊な構造という中での積算であった」と説明して理解を求めながら、「メーカーの特殊部材と独自工法に頼らず、在来の部材と工法で設計を見直し、予算を抑制したい。国の基準に基づき構造計算するため、タワーの強度は変わらない」と述べた。ただ、これに伴い設計の見直しだけで来年3月末までかかるとし、当初予定していた来年3月末までのタワー完成は不可能になることも付け加えた。また、市はことしの当初予算で計上した1億3000万円以内でとどめたい考えだが、設計の見直しで予算オーバー、またはタワーの規模縮小の可能性も示唆した。