アベノミクス効果で円安が進んでいる。この影響で、外国から日本を訪れる観光客が急増しているという。観光局によると、ことし1~7月までの総数は約600万人で、昨年同期と比較すると約2割増加。富士山の世界遺産登録が決まったことも追い風になっているようだ。
 日本人からみると当たり前のことでも、外国人には不思議に感じたり驚いたりすることがある。国によってもその感じ方は異なると思うが、例を挙げれば▽電車やバスが時間通りに到着すること▽夜遅くでも女性が1人歩きしている▽安い店でも接客が丁寧▽トイレのハイテク装置(温水洗浄便座等)が付いていることなどが挙げられる。
 観光客が求めていることでも、日本人と外国人では感覚のずれがあるのかもしれない。日本人が外国旅行する時は、その国の有名な名所をまず念頭に入れる。しかし外国人は観光地だけでなく、居酒屋やラーメン屋、温泉などのごく普通の日常生活に興味を抱くこともあるという。透き通ったきれいなマリンブルーの海があっても東南アジアなどの人々にとってはそれがごく普通の光景で、興味は引かない。海辺に住む外国人にとっては奥深い自然の山並みに関心を寄せるだろう。一言に観光地といっても感じ方はそれぞれである。
 日高地方では外国人が大勢訪れるような場所はないに等しい。しかし日本伝統食の梅干しが特産、カツオ節も発祥の地、きれいな流れの日高川、由緒ある旅館が並ぶ龍神温泉、各神社で催される秋祭りなども、外国人は新鮮な印象を受けるかもしれない。地元に住んでいれば当たり前と思っている光景、食、体験が観光地に成り得る可能性も。    (雄)