県の過疎集落支援総合対策で過疎生活圏に指定されている日高川町寒川地区に3日、仁坂吉伸知事が訪問。過疎対策事業の一つの寒川茶屋、国の有形文化財に登録予定の寒川家住居や寒川神社など巡り、昔懐かしい町並みを楽しんだ。寒川茶屋では地元住民と懇談しながら、イノシシ肉の丼やシイタケ入りのそうめんなど地元特産のメニューを味わい、「茶屋やシイタケなど地域振興の事業が成功するよう応援しています」とエールを送った。
 仁坂知事にとって今回は待望の寒川訪問。おととし6月には、参加することにしていた寒川のホタル祭りが雨で中止になって訪問を取りやめている。この日、仁坂知事は寒川家住居と寒川神社を巡ったあと寒川茶屋を訪れ、店の女性スタッフ「寒川ホタルの会」メンバーら十数人がお出迎え。仁坂知事は店内で地域住民との懇談を行い、「寒川に来ることをずっと楽しみにしていました。地区は県の過疎集落支援総合対策のモデルで、振興を期待しています」とあいさつ。過疎対策事業を展開している寒川寄合会の堺好孝会長は「高齢者が多いですがみんな比較的元気。寒川きっての美女が作った料理を楽しんで下さい」と歓迎した。料理はイノシシの肉をふんだんに使ったシシ肉丼にシイタケ入りのそうめん、ごんちゃん漬け、寒川茶など。仁坂知事は地区住民と会話を楽しみながら地元の特産品を生かしたメニューを堪能し完食。シシ肉丼には「うまい。イノシシは大好き」と大絶賛。イノシシについて「流通面が問題。給食に活用したいが、一部で反対もある」と課題を挙げた上で、「多少のくさみはあってもいい。本当においしいのでみんなに食べてもらいたい」と思いを述べた。寒川茶屋については、毎月第2木曜の営業で、毎回50~70人の来店客が訪れ地域の憩いの場になっていること、シシ肉丼が人気メニューになっていることなどの説明に熱心に耳を傾けた。
 寒川家住居では、住人の寒川歳子さんの案内で見学。母屋では江戸時代末の建築そのままのかやぶき屋根のたたずまいに見入り、建物や寒川家の歴史、土蔵はシイタケの保管場所だったことなど説明を受けながら離れや門、石垣、土蔵など見て回った。
 寒川地区の過疎対策事業は平成23年度から本年度まで3年間で展開。約1700万円で「シイタケを核とした産業振興で未来につなぐ集落づくり」をテーマに産業、鳥獣害防御、活性化の3本柱の対策のもと、13の取り組みを進めている。