管理する町体育協会などの団体会計から86万6500円を着服したとして、みなべ町は16日、教育委員会教育学習課主任の男性職員(31)を15日付で懲戒免職処分にしたと発表した。監督責任のある教育学習課長は減給10分の1(1カ月)、教育次長は戒告処分。町長、教育長も減額する議案を9月議会に提出する。16日に役場で開かれた会見で、小谷芳正町長は「再度、庁内の規律を見直していきたい」と謝罪した。
 不正流用は男性職員が管理していた「梅の里社会人野球実行委員会」「みなべ町体育協会」「少年野球連盟」「きのくにジュニア」「梅の里少年野球」の5つの名義口座で発生した。昨年10月からことし7月までの期間に14回(1回に2万から12万5000円)にわたり現金が引き出された。平成21年に起きた公金詐欺・贈収賄事件の教訓から庁舎内で実施している監査システム「職員が業務関係上で取り扱う団体等の口座等の調査」が今月6日に行われ、今回の不祥事が明るみになった。被害金額確定後の9日に親族に事情を説明し、親族が全額返済。町は完済となっていることから警察への被害届は見送った。
 男性職員は昨年3月から田辺市内で1人暮らしを始め、飲食費や遊興費などを工面するために消費者金融や銀行のカードローンから借り入れ、借金が350万円に膨らんだ。月々の返済額は約8万円になり、町の聞き取り調査で「給料では払いきれなくなり、親兄弟にも相談できずに仕方なく口座の金に手を出してしまった」と話したという。
 会見には小谷町長、豊田泰猛教育長、松川史朗総務課長の3人が出席。小谷町長は「再度、庁舎内の規律を見直し、こうした不祥事を未然に防ぐために管理や監視を徹底していきたい」、豊田教育長も「あってはならない私的流用が発覚し、町民や関係者らに申し訳ない。管理システム上の問題もあり、今後は町長部局と連携しながら再発防止に努めていきたい」と述べた。
 同町では平成21年に当時の住民環境課長らが汚職事件で逮捕、同年には職員が酒気帯び運転で検挙、23年には脅迫容疑で職員が逮捕されたこともあった。町民からは「町執行部はことあるごとに『再発防止に努めます』というが、不祥事が多すぎる」と批判の声も聞かれている。