県教育委員会の本年度和歌山教育実践研究大会が2、3の両日、日高地方で開かれ、 3日には市民文化会館で大村はま記念国語教育の会事務局長の苅谷夏子さん(56)=千葉県=が記念講演を行った。
 8年前、 98歳で亡くなった国語教育研究家の大村氏は、生徒1人ひとりの実力と課題に応じたオーダーメードの教育方針「大村単元学習法」を確立。現在でも全国の教員が対象の「最も尊敬する教育者は?」というアンケートで、吉田松陰や福沢諭吉を抑えてトップに選ばれるなど、独創的な教育実践は教師だけでなく多くの有識者の共感を得ている。
 苅谷さんは中学生時代、大村氏の授業を受け、大村氏の晩年は国語教育の会事務局長として全国の講演活動等をサポート。今回は「『教える』ということ~大村はまの教育実践~」と題し、県内各地から集まった約650人の教職員を前に、自身が大村氏から受けた言葉のパワー、生徒に対し勉強の価値を引き受ける揺るぎない姿勢とそのありがたさなどを説明。大村氏の著書や講演の中から感銘を受けた25の言葉も紹介し、「大村さんは言葉の使い方が一流で、発する言葉のすべてが空虚ではなかった。教室は生きた人と人が同じ時間を過ごす空間。教師がムダのない整理された本気の言葉を発すれば、その迫力に生徒たちの背筋が伸び、学ぶことの意味が伝わる」などと述べた。