日高川町平川、プラスチック加工等の男山工業所(古田覚代表)は、新型コロナウイルス感染症に最前線で対応する医療従事者を支援しようと、品薄が続いているフェイスシールド(飛沫防護マスク)を開発、製造に取りかかった。今月中にも1000セット(1セットはバンド1つとペット板5枚)を完成させ、希望する全国の医療現場に可能な限り抑えた価格で提供する。

 フェイスシールドは、透明な素材で顔面を覆い、飛沫によるウイルス感染を防ぐ防護品。1982年創業、大手企業とも取引がある同社は今月上旬、美浜町田井の森本医院(森本善文院長)の受付にアクリル板を設置する工事を請け負ったのをきっかけに森本院長からフェイスシールドを作れないかと相談され、古田代表(63)が開発に着手。テレビのニュースで見た製品を参考に自分で形にした。試作品は森本院長から「頭部まで隠れるように」などとアドバイスを受けながら改良を重ね、完成させた。

 シールドは0・5㍉の厚さで33×28・5㌢のペット製。ゴムと塩化ビニールで作ったバンドで頭部に取り付ければ、顔全体と胸元まで保護される。試作品は塩ビ製だったが、費用が抑えられ、より視界がクリアになることから、飲料水のボトルでおなじみのペットに変更。すぐに材料を確保し、義兄が経営する京都府八幡市の㈲男山化学で製造に取りかかった。

 正式な価格は決まっていないが、1セット1500円程度の見込み。東京の取引先などを通じて、全国の医療従事者に提供できるようにするという。

 古田代表は「コロナは、もはや国難、戦争みたいなもの。それに対して、いつ感染するか分からない状態で対応する医療従事者がいるのに、傍観していられないと思っていました。生産のきっかけをつくってくれたのが森本先生で、これで少しでも世の中のお役に立てればと考えています」と話しており、すでに新たな3000セット分の材料も確保。準備が整いしだい、増産に入るとしている。

 商品名は「和歌山フェイスシールド」。問い合わせは同社℡0738―52―0413。

写真=「和歌山フェイスシールド」の試作品を手に古田代表