バルセロナ五輪(1992年)金メダリストの岩崎恭子さん(35)が、16日にみなべ町を訪れ、岩代小学校で行われたプールの移転・新築工事の竣工式で講演と水泳指導を行った。講演では水泳との関わりや五輪の思い出などについて話し、「誰にも負けない好きなこと、一生懸命頑張れることを見つけて下さい」と児童に呼びかけた。水泳指導では往年の金メダリストの泳ぎも披露した。
 岩崎さんは日本人として史上最年少の14歳と6日で金メダルを獲得。現在、水泳指導や水泳の楽しさを伝えるイベントに出演するなどの活動を行っている。平成23年には第一子を出産し、母親としても奮闘中。
 講演会は同校の体育館で開かれ、「幸せはいつも自分でつかむ」をテーマに語った。5歳の時にスイミングスクールに通い始めたのがきっかけで水泳を始め、最初の頃は「3歳上の姉のようになりたい」と練習していたという。金メダルを獲得したバルセロナオリンピックについては「合宿での練習は一日に午前中と午後の2回あり、1万5000㍍から2万㍍ぐらい泳いだ。苦しくてとても大変で、ゴーグルの中に涙がたまってしまいそうになるほどだった」と振り返り、「オリンピックでメダルを獲ってとてもうれしかったが、その後周りから注目され、学校に行くのも嫌になったことがあった。好きで頑張れていた水泳が嫌いになり、頑張れなくなった。しかし周囲からの支えで『このままではダメ』と思い、再び頑張って4年後の五輪に出ることができたのも、金メダルを獲った時と同じぐらいうれしかった」と心境を明かした。児童に対して「何でもいいから好きなこと、誰にも負けないこと、頑張れることをつくって下さい。周りで頑張っている人がいれば、その人を言葉に出して応援してほしい」と呼びかけた。児童からの質問を吉水章夫校長が伝えて答えてもらうコーナーでは、子どもたちの「好きな食べ物は」という質問に「嫌いな物はなく、野菜や魚など何でも好きです。子どもの頃はお母さんがつくってくれたハンバーグが好きでした」と笑顔で答えていた。
 このあと新しくできたプールに移動。児童代表の坂本愛夢さん(6年)、中本ひらりさん(同)の2人も加わって関係者らとテープカットで完成を祝い、プールに入って岩崎さんが水泳指導を行った。模範水泳では平泳ぎ、クロール、背泳ぎ、バタフライと、いろんな泳ぎを披露。小学低学年(1~3年生)の子どもたちと一緒に小プールで泳ぎ、高学年(4~6年)の子どもたちとは大プールで1人ずつアドバイスした。指導を受けた4年生の田口莉佳子さんは「水泳中は口を膨らませるのではなく、『んー』としゃべる時のように、と教えてもらった。一生懸命練習して上手になりたい」と話していた。