日高川町高津尾の小原長瀧が出生とされる江戸時代中期の女形歌舞伎役者、芳沢あやめをしのぶ舞踊「あやめ踊り」を継承していこうと、地元中津中学校(和佐公生校長)で26日、「あやめの歴史学習と踊りの練習会」が開かれた。あやめ踊り保存会(信濃兵造会長)の指導で、全生徒38人が女形歌舞伎役者をモチーフにした踊りに取り組み、地域が生んだ偉大な名優に思いをはせた。
 あやめ踊りは昭和26年に創作された舞踊で、作曲はNHK民謡顧問で音楽評論家の町田嘉章氏、作詞は船津出身の寒川定男氏、振り付けは上方舞の山村流四世宗家山村若氏。26年以前から地域であやめの業績を顕彰するために伝えられてきた盆踊りが基。農家から身を起こしたあやめが日本を代表する女形歌舞伎役者として成功するまでの修行を表現した舞踊で、優雅でかつ凛(りん)とした芸格を持っている。伴奏は太鼓、三味線、尺八。32年に初公開、41年にあやめ踊り保存会が発足した。
 今回の歴史学習と踊りの練習会は、保存会が提案。保存会はメンバーのほとんどが50代以上と年々高齢化が進んでいることから、踊りが忘れ去られることのないよう中学生に期待を寄せた。この日、保存会のメンバー12人が同校を訪れ、あやめの歴史や踊りの由来など説明したあと、練習会がスタートした。保存会のメンバーの踊りを見ながら、中学生が実践。三味線の音色に合わせて、優雅に両手を右上から左下に払ったり、色っぽく手を口元に当てたりする女形ならではのしぐさに戸惑いながらも熱心に取り組み、地域の偉人に触れた。大前穂乃花さん、森来夢さんは「リズムに合わせるのが難しい。あやめの踊りがあったなんて知らなかった」と驚き、仲悠馬君と吉村兼君は「とっても楽しい。踊りを通してあやめをさらに知ることができた」と話していた。今後も練習を続け、11月3日の中津文化祭(会場は日高川交流センター)、同10日の中学校の文化祭で披露する。