アベノミクスで株価の上昇、円高是正も進み、まずは期待通り(以上?)のスタートを切った第2次安倍政権。先月末には日米首脳会談もTPPで成果を挙げ、安倍首相は会談後、「失われた同盟の絆は完全に復活したと宣言したい」と胸を張った。次はロシアで、一気に北方領土問題の解決に道を開くか。
 就任後初の外遊は、ベトナム、タイ、インドネシアの東南アジア3国。アルジェリアの事件でインドネシアの日程は切り上げられたが、共産党一党独裁が続くベトナムも含め、自由と民主主義、基本的人権を共有する「価値観外交」はすなわち、思い上がる独裁大国に対する包囲網の意思表示である。
 韓国では、島根県の竹島の日の式典に反発して日本製品の不買運動が起こり、ソウルで反日の男が日本大使館に汚物入りのペットボトルを投げつける事件があった。前の大統領は国内でも批判が噴出した竹島上陸について、「日本の右傾化にブレーキをかけなければならないと考えたからだ」というが、これまで憲法を一度も変えず、ひたすらあなたがた「周辺国の公正と信義に信頼」して土下座を繰り返してきた日本が、いつどのような軍事的な脅威を与えたというのか。
 安倍首相に対する国民の期待は、景気対策と同等、もしくは以上に、これら周辺国に対する毅然とした国家としてのプレゼンスの高揚がある。アメリカとの関係をさらに強固なものとし、中国の挑発には絶対にのらず、同じようにその脅威にさらされているベトナム、フィリピンなど親日アジア諸国との経済交流を軸とした連携を。さらにはロシアとも、組み手争いを制して奥襟をがっちりつかみ、できるだけこちら側に引き付けておきたい。(静)