日高高校の平成28年度卒業生の進路状況が発表され、ほとんどの生徒が進学を希望。和歌山大学への進学者は、例年の8人程度から13人に増加。地元に残る生徒が増えたことはよろこばしいことだが、和歌山県は依然として県外進学率が全国的に高い。県内に大学が少ないことが原因に挙げられるが、問題は学生たちが再び県内へ戻ってくる割合が3割程度しかないとのこと。このことが若者離れ、人口減少の大きな要因の一つとなっている。
 先日、28年度高校卒業生の3人が、県内の28年度高校卒業生を対象としたイベントを開催した。主催者の1人は、以前先輩との会話の中で「進学先の他県で生活基盤ができてくる中、和歌山の友人らとの関係が薄くなってきて地元に帰りづらくなる」との声を聞き、地元に帰りやすい環境をつくろうと開催。就職や進学などで県外へ出る生徒、また和歌山へ残る生徒約20人がカフェに集まり交流。和やかな雰囲気で笑顔の絶えないイベントとなっていた。
 印象的なのは卒業生や現役高校生が中心となって企画、運営していること。大人が若者を和歌山に残そうとあの手この手を尽くすより、若者自身が率先して自らのコミュニティーを広げることで、郷土とのつながりがより深くなる。働く場所の課題はあるが、まずは地元へ帰りたいと強く思う気持ちが、今後の人口減少対策の突破口にもなるだろう。
 主催者では集まったメンバー同士やさらに輪を広げて定期的な開催を目指している。また来年度以降も後輩に引き継いでもらうことを願っている。卒業生たちが自ら立ち上げたこのイベントは、まだまだ小さな火種だが、いずれ大きな成果につながるよう、紙面を通じて応援したい。 (城)