明治から昭和期に活躍した印南町出身の日本画家、湯川松堂(1868~1955)の掛け軸が今月に入り、同町印南の印定寺(叢信哲住職)で新たに見つかった。
昨年から松堂画伯について探求を続けている町文化協会(坂下緋美会長)に、叢住職から「戸袋を整理していると掛け軸の絵が見つかった」と連絡があった。作品は白衣観音像の絵で、掛け軸を納めた木箱に「奉納」「昭和13(1938)年」と記されており、松堂画伯が70歳の年に奉納したものと分かる。文化協会では奉納に至った経緯など詳細を調べている。
印定寺では昨年、松堂画伯から1922(大正11)年に襖絵が奉納されていたことが分かった。坂下会長は「松堂画伯が印定寺に対し篤(あつ)い思いがあったことが偲ばれます。観音像の絵も、表情が穏やかで、心なしか松堂画伯に似ているように思う」と話している。
文化協会では28日、松堂画伯の孫の桝谷耕二さん=堺市在住=を訪ねる予定で、今回発見された掛け軸についても報告したいという。