印南町に伝わる「三愛伝説」の一つで、「角屋悲恋物語」の主人公、「与市」と「ヲサナ」の日本人形が、2人の供養碑が建てられている印南の印定寺(叢信哲住職)に奉納された。
角屋悲恋物語はかつお節を考案したとされる江戸時代の漁民、角屋甚太郎の子孫に当たる甚三郎の跡取り息子だった与市と、奉公人のヲサナとの愛を描いた話。2人の恋愛は許されず、ともに印南の浜に身を投げた。嘆いた甚三郎は印定寺に2人の永代供養を託して土佐へ移り住んだという。
奉納したのは町文化協会会長の坂下緋美さん。先月22日、坂下さんと甚太郎の子孫で13代目に当たる久保田英介さん、総代の中江正純さんらが出席して奉納式があり、叢住職が読経して焼香。文化協会伝承を楽しむ会の上山千重子さん、片山美代子さんが与市、ヲサナに扮して「印南哀史小唄の与市ヲサナ編」の曲に合わせて舞も奉納した。坂下さんは「形にすることでより印南の愛物語が分かりやすく、みんなに親しんでいただけたら」と話している。