設立からまもなく100年を迎える大正大学(東京)の新しい理事長に、御坊市藤田町吉田出身の柏木正博氏(72)が就任した。柏木理事長は同大を卒業後、職員となり、半世紀以上にわたって大学の発展に力を注いできた。東日本大震災をきっかけに誰よりも早く地方創生、地域連携の必要性を実感し、御坊市をはじめ全国110の自治体との連携ネットワークを作り上げたパイオニアに今後の展望等を聞いた。
藤田町吉田の万楽寺の6人きょうだいの末っ子(三男)。藤田小、大成中、御坊商工機械科卒業後、仏教の4つの宗派が設立している大正大学に入学した。当時有名な書家の先生に書を習い、卒業後も先生の下で書道を続けたいと考え職員になった。教務課で授業のカリキュラム作成など教授をサポートする仕事をし、教務部長、事業推進部長、事務局長などを歴任。2011年3月の東日本大震災では発生から1カ月後、学生150人を連れて宮城県南三陸町でがれきの撤去、炊き出し、トイレ掃除、子どもの遊び相手、写真を乾かして心当たりのある人に渡すなどのボランティアを行った。
東日本での活動をきっかけに、これからは地域が持続的に発展する地方創生が必要だと痛感し、大学と地域を結ぶ連携ネットワークを作り上げようと自身が中心となって2016年に地域構想研究所を設立。飛び込みや人からの紹介で全国の自治体を行脚し、ふるさと御坊市をはじめ現在は110の自治体と連携を構築した。18年には地域創生学科を新設。築いたネットワークを生かし、学生を全国の地域に派遣して2カ月間の現地実習を行うカリキュラムを作り、地域課題解決や人とのつながりを深める取り組みを積極的に行っている。
今年3月30日付で専務から理事長に就任。地方から来た学生を東京で人材育成し、また地域に帰ってそれぞれの分野で活躍してもらう「地域回帰」がモットー。「卒業した学生が御坊をはじめ全国各地の自治体や企業で働き、起業もする。多彩な人材が全国をつないでネットワークができていけばいい」。今後はデジタル化に対応できるDX人材の育成にも力を入れるつもりで、「文系と理系を融合させ、何より人格を重んじる新しい学部『情報科学部』を26年4月に設置させるために準備を進めているので、御坊からも学生が来てくれるとうれしい」とこれからも新しいことに挑戦していく思いを話した。


