印定寺に奉納された襖絵を鑑賞(左から平尾教育長、坂下会長、叢信哲住職、日裏町長、脇谷副町長)

 印南町文化協会歴史文化の部(坂下緋美会長)が明治・大正期に活躍した印南町出身の日本画家湯川松堂(1868~1944)について調査する中で、今から約100年前、湯川氏が同町の印定寺へ絵を奉納していたことが分かった。

 湯川氏は皇室御用も務めた有名な画家で、その絵は明治天皇から伊藤博文に下賜されたことでも知られている。文化協会では、湯川氏の孫にあたる人と連絡を取り合い、情報交換を行う中で、湯川氏が印定寺に襖絵、西蓮寺に掛け軸を奉納していることを知った。

 そこで湯川氏とゆかりの深い大阪の四天王寺勧学部の学芸員に印定寺の襖絵を調査してもらったところ、襖絵は1922年(大正11)、掛け軸は28年(昭和3)に制作し、その頃に奉納されていたことが分かった。

 このほど、日裏勝己町長、脇谷宗男副町長、平尾潔司教育長が印定寺に襖絵を見に訪れ、坂下会長がこれまでの経緯を説明。日裏町長は「印南の偉大な芸術家の作品を目の当たりにし、町民として誇りに思う」と話した。

 襖絵がある場所は寺院の奥にあり一般への公開は難しいが、同会では今後、文化財関係者を集めて鑑賞会を開きたいとしている。