トラックで市場に出荷される南高梅

 JA紀州のブランド品種として出荷される南高梅の市場価格が高値をつけている。27日には主産地のみなべ・印南地区から出荷される箱詰め(1箱10㌔入り)の初売りが行われ、今年の稀にみる不作が影響し、昨年比で2倍近くの価格となった。秀品率は降雹(こうひょう)などの被害果実が多く、いまのところ例年の約4割だという。

 暖冬で不完全花が多かった影響で、生産量は例年の3割程度といわれ、市場では近年にない品薄状態になるとみられている。

 初出荷の価格(1箱)をみると、流通量の多い2L秀が1万1350円で、昨年初出荷の6480円に対して約1・7倍。ほか、秀品では4Lが1万4040円(昨年7560円)、3Lも1万2910円(同7020円)で、いずれも1万円を超えた。粒が比較的小さいLは9180円(同5400円)、Mが6660円(同4320円)となり、昨年の価格を大幅に超えている。

 今年は例年にない不作に加え、ひょうやカメムシの被害を受けたことから、JAは従来の品質等級「秀」と「優」に次ぐ、「良」のランクを追加。現在は比較的ひょう被害が少なかった海岸沿いから出荷されているが、秀品率は例年の80~85%よりも低く、40%程度だという。今後はひょう被害の多かった山間部からの出荷が増えてくるため、秀品率の低下が懸念されている。

 農家は「梅の好景気だった30年ほど前には1箱1万円を超えたことがあったような記憶があるが、今年の高値はそれ以来では。しかし、全体的な数量が少ないため、今までになく経営は厳しい」と表情を曇らせ、JAの担当者は「出荷が始まっても収量が増えてこない。28日の大雨と強風で果実が落下したことも今後の出荷量に響いてきそうで、今年は梅にとって悪い条件が重なってしまった」と話していた。