御坊市の小竹八幡神社に毎年奉納される干支の大絵馬を最初に取材したのは、現在奉納されている木村洪平さんの父、木村靖夫さんの時だった。担当されたのは1999年から2001年と、世紀をまたいだ3年間。21世紀最初の01年、白蛇の大絵馬は新年号の表紙にも使わせて頂いたのを覚えている◆一枚90㌢×190㌢と大きく、ずっと保管してきた祭器庫が手狭になった。2027年の御遷宮三百五十年祭を前にお焚き上げが決まり、その前に多くの人に見てもらう機会を持つため今月4日、昨年まで奉納された46年分、46枚が境内で展示。洪平さんの大叔父に当たる山中襄さんに始まり、靖夫さん、洪平さんと3人の大絵馬が一堂に会した山中さんとはお会いする機会を得られなかったが、靖夫さんには中学校の時に国語を教えて頂いた。独特の語り口調で、大変面白い授業だった。久しぶりに白蛇の大絵馬を間近で眺め、懐かしい思いがした。1999年の卯年の大絵馬にはかわいらしい白ウサギが描かれ、大安の展示当日に訪れたお宮参りの参拝客らが、今年誕生の赤ちゃんを抱いて一緒に記念撮影していた◆西洋にはない十二支とは、面白い文化だ。年や時刻、方位を表す「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の12文字に動物を当てはめたことで、イメージがはっきりして親しみやすくなっている。また、地元の氏神様に一年の無事を祈り絵馬を奉納するのは、日本独自の文化である。「初詣の時にいつも見ていました」と懐かしそうに眺める人々に、伝統が生活に息づく日本人ならではの心を見たように思った◆ちなみに世界の十二支を調べたところ、ベトナムやチベット、タイではウサギがなく、代わりに猫が入っている。今年は猫年だそうだ。(里)

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