絵馬の歴史は古い。古来「神々は騎乗した姿で現れる」といわれたことから、第十代天皇とされる崇神天皇の代から神事の際に馬を献上する風習が始まったという。馬を奉納できない者の代用として、奈良時代には板に描いた馬の絵がみられるようになった◆この季節、各神社に氏子から来たる年への願いを込めた絵馬が奉納される。御坊市の小竹八幡神社では、「正月事始め」の12月13日の朝、氏子の木村洪平さんが大絵馬を奉納した。同神社の絵馬奉納は、木村さんの大伯父に当たる山中襄さんが1976年、手水舎に龍の天井画を奉納したのが始まりで、干支の動物を描いた大絵馬の奉納は翌77年からスタート。78年の「小竹八幡神社御遷宮三百年記念」としての奉納だったという。山中さんから木村さんのご父君、故靖夫さんが引き継いで3年間書かれた。筆者は中学校時代、靖夫先生に現代国語を教えていただき、語り口調がとても面白かったのを覚えている。最後の1作は21世紀の幕開けである2001年の巳年、白蛇を描かれていた◆02年から木村さんが引き継ぎ、今回で干支を2周りして24作目。描かれたのは日本神話に登場するヤマタノオロチである。荒ぶる存在だが、神格化されたヘビとしては最も有名かもしれない。自然の脅威の象徴ともされる。ヘビは脱皮することから、「再生の象徴」でもあるという◆神社は2028年に「御遷宮三百五十年」という大きな節目の年を迎える。初めての大規模な改修事業が計画され、広く奉賛が募られている◆役目を終えた龍の大絵馬から掛け替えられたヤマタノオロチの大絵馬を見て、「再生」という言葉の持つエネルギーは、来る年への希望を託すにふさわしいと思った。(里)