
みなべ町や印南町などが構成団体の紀州梅の会(会長=真砂充敏田辺市長)は、映画の脚本や人気テレビ番組の放送作家として活躍する小山薫堂さん(60)とのコラボ企画として、大阪・関西万博のパビリオンで南高梅を樽に漬けて展示する「万博漬け」を実施すると発表した。塩漬けした梅は25年後にイベントを開催して来場者に配布する壮大なプロジェクト。南高梅の魅力を世界に発信し、時を超えて食と命のありがたさを訴える企画にもなる。
2日に田辺市役所でプロジェクトの発表会が開かれ、小山さんらが内容や思いを語った。
大阪・関西万博では、メインテーマの「いのち輝く未来社会のデザイン」をより具現化する8人のプロデューサーのうち、小山さんは「いのちをつむぐ」をテーマにしたパビリオンを担当している。
記者発表で小山さんは15年前、仕事で紀南を訪れたときに50年前の梅干しを食べて感動したこと、50歳で熊野古道中辺路ルートを歩いたのが縁で真砂市長と出会ったこと、1970年の大阪万博で祖父母からお土産をもらったが、何をもらったか覚えていないことを紹介し、「パビリオンを担当することになったとき、万博のお土産が孫の記憶にも残るような、時を超えて大切にしたくなるものだったらいいなという思いと、梅干し、熊野古道が化学反応を起こし、未来にいただける梅干しを作れたらと今回のアイデアを発案した」と説明。「時を超えて人が人のことを思う、梅干しがやさしさの装置になれば」と思いを披露した。
小山さんが担当するパビリオンは「EART HMART(アースマート)」と名付けており、外観は茅葺き、室内は2つのゾーンで構成。命のフロアと、その先にある未来のフロアに梅干し樽を展示する。樽は内部の梅が見えるよう窓を設ける。絵馬コーナーも設置し、来場者に未来へ思いをはせてメッセージを書き込んでもらう。来場者全員に25年後の梅干し引換券を配布。2050年に田辺市でイベント(詳細は今後検討)を開催し、引き換え券を持って来場してもらい、当時漬けた梅干しを食べてもらう計画だ。
6月6日の梅の日にアースマート内で式典と、収穫した梅を樽に塩漬けするパフォーマンスを行う。期間中の来場者を40万人と想定し、紀州梅の会が用意する紀州産の南高梅約1㌧を漬ける計画。事業は梅の会の若梅会(濱田朝康会長)や梅干部会(杉本宗一部会長)が担当する。6月6日時点では梅が少ないため、実際には6月下旬に本格的に漬けることになるという。