例年の桜は少しずつ咲き始め、あと1週間くらいで満開かなと、胸を躍らせるものだが、今年は先週半ばに急に暖かくなったため、ほとんど前触れなく一気に満開に近づいた。満開になってからの花冷えは花見客には少しこたえるが、咲いている期間が長くなるのはうれしい。日本一の梅の産地みなべ町では、山間部でまだ梅の花が少し残っているときに桜が咲き、珍しい梅と桜の競演が見られたという話も聞いた。気象というのは人の生活に大いに影響する、日々大きく取り上げられる話題の一つだと、あらためて感じた。

 梅の収穫時期まで2カ月ほどとなったみなべ町では、今年の作柄が大きな関心事。一昨年の不作に続き、昨年は過去最大の大凶作となり、生産者や加工業者、梅産業にかかわる多くの人が大きな打撃を受けている。昨年は開花前の気温が高く、開花が例年になく早まったことで受精不良となったのが大きな原因だった。今年は開花が遅かったが生育は順調で胸をなでおろしていたが、海沿いの地域では現時点であまりよくない場所もあるという声も聞こえてきた。まだまだ作柄にどう影響するか分からないので、豊作になることを願わずにはいられない。

 筆者も収穫時期には友人の手伝いに梅を拾いにいくが、平地は楽そうに思えて腰をかがめながら歩くのは重労働。先日、岸本知事のタウンミーティングでみなべ町の梅生産者が、落ちた梅が転がって一カ所に集まるよう傾斜をつけた平地の農地整備を提案していたが、非常にいいアイデアだと感心した。収穫期の人手不足は今後ますます大きな課題になる。将来を見据えた新しい農地整備は今から取りかかるべきだ。(片)