選手との思い出を振り返る池田さん

 日本高校野球連盟と朝日新聞社が高校野球の育成と発展に尽くした指導者をたたえる育成功労賞に、県内からみなべ町の南部高校軟式野球部監督池田哲也さん(54)=上富田町=が選ばれた。約30年にわたり、選手1人ひとりと向き合い、切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長する野球の楽しさを指導。表彰式は第68回全国高校軟式野球選手権和歌山大会抽選会(7月1日、耐久高校)の中で行われる。

 池田さんは東京農業大学硬式野球部の主将を務め、1993年4月にはかつて投手として活躍した母校の県立熊野高校野球部(硬式)の監督に就任し、99年3月まで務めた。01年4月から南部高校へ転勤して軟式野球部の監督となり、春と秋の近畿大会で2度ずつ優勝、14年は夏の全国大会でベスト8、同年の長崎国体の高校軟式野球の部では全国優勝を果たした。

 選手に対しては、みんなでワイワイする野球の楽しさではなく、適度な緊張感の中で選手同士が切磋琢磨し、成長するスポーツの醍醐味を伝えることに重点。選手個人との対話を重視し、「試合で負けた時こそ褒める」というスタンスでメンタル面をサポート、「負けた試合を大切にしてきた。あきらめずに粘る力、考える力、切り替える力が身につく。ひと冬越えて成長する選手の姿を見てうれしく思った」と振り返る。

 南部高校軟式野球部はおととし夏の3年生6人を最後に部員がゼロとなり、新入部員はここ4年間いない状態が続き、廃部の危機に陥っている。

 池田さんは「たくさんの思い出があり、寂しく感じます。今回の受賞は1人でいただけるものではなく、選手、保護者、顧問の先生、相手チームなど関係者の皆さまのおかげ。僕自身が野球で成長させていただきましたので、今後も何らかの形で野球に関わっていきたい」と話している。

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