左から堺御坊駅長、JR和歌山支社の松田副支社長、MARUNIの丸山取締役、JRの金岡支社長

 今月2日の大雨によるJRきのくに線の運転取りやめに伴い、帰宅が困難となったJRの乗客に対し、避難場所と食事を無償で提供した御坊市のMARUNI株式会社に、JR西日本和歌山支社から感謝状が贈られた。MARUNIの丸山新仁取締役(37)は、「皆さんが困っている状況だったので、何か役に立てることがあればという気持ちで動きました。このような賞状をいただけるとは思ってもみませんでした」と話している。

 2日は昼から夕方にかけ線状降水帯が県内を通過。きのくに線は朝から特急の運転を見合わせ、普通電車も午前中に御坊―新宮駅間、昼には全線で運転を取りやめ。この影響で御坊、湯浅、箕島、加茂郷の各駅で電車が立ち往生し、多くの乗客が帰宅困難となった。

 JR西日本では、今年1月に大雪の影響で京都線の乗客が長時間電車に閉じ込められたことを受け、緊急時に乗客への避難場所が確保できるよう沿線自治体に協力を依頼している。御坊駅では昼前に、和歌山方面行きの普通電車が長時間ストップ。午後3時ごろ、和歌山支社は御坊市に避難場所の提供を依頼したが、乗客までの受け入れは難しく、駅前のホテルも満室で避難先の確保が難航した。そんななか、堺伸二御坊駅長が、一緒に駅前で地域イベント等を開催しているMARUNIの丸山取締役に事情を説明、協力を求めたところ、丸山取締役は快諾し、駅前のMARUNI第一ビルの空きテナントに60人の乗客が避難することになった。

 避難した時間は夕飯時で、丸山取締役は乗客に温かい弁当を配布。おかずは同社が運営している天ぷら居酒屋とうどん店のメニューを人数分用意した。夜になり雨が収まるにつれ帰宅する人もいたが、18人は帰れず、翌3日の朝まで空きテナントで過ごしたという。

 16日、和歌山支社から金岡裕之支社長、松田彰久副支社長らがMARUNI第一ビルを訪れ、丸山取締役に感謝状と目録を贈呈した。金岡支社長は「大雨で電車がストップする大変な時に、迅速に対応し、乗客を受け入れて頂き、本当に助かりました」と述べた。和歌山支社では「この件で、鉄道は地域の方々に支えられていることをあらためて実感しました。引き続き、地域の皆様と協力し助け合いながら業務に当たっていきたい」とコメントしている。

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