県立医科大学は15日、最新の人工関節手術支援ロボット「ROSA Knee(ロザ・ニー)システム」を県内の公的病院で初めて導入したと発表した。すでに21人の患者に膝の手術を行い、従来よりも正確で高精度の実績を確認。患者の負担軽減や満足度の向上、設置した人工膝関節の長期にわたる耐用性などにつながると期待されている。

 医学部整形外科学講座の西山大介講師、福井大輔講師、山中学助教が記者会見で実績を報告した。

 全国には変形性膝関節症の患者が約1000万人から3000万人いると推計され、治療法の一つに、変形した関節を人工のものに置き換える「人工膝関節全置換術」がある。

 手術では、人工関節を設置するために骨を切る量、設置する角度、膝を曲げ伸ばしする際のすき間の適切なバランスを整えることが重要だが、これらは執刀する医師の経験や感覚によるところが大きいとされている。

 手術支援ロボットは、ロボットアームや光学カメラなどにより患者の膝の位置を正確に把握。医師が感覚的に行ってきた部分を数値化し、術中も計測しながら0・5㍉、0・5度単位で微調整でき、医師の熟練度の差に関係なく、高精度の手術ができる。

 県立医大は、ロザ・ニーシステムを昨年10月に試験導入、ことし4月に正式導入し、これまでに21人(平均年齢75・7歳)の24膝を手術した。

 3度以内が適切とされる人工関節の設置角度の精度は、大腿骨側(上部)で誤差の平均が0・90度、3度以上の誤差が出たのは5・3%。脛骨側(下部)では誤差の平均が0・72度、3度以上の誤差はなかった。すき間のバランスは膝を伸ばした際で95・8%、曲げた場合で88・0%が良好な結果だった。

 西山講師らは、支援ロボットの導入により医師の感覚を損なうことなく、より正確な手術ができている成果を強調。手術が不安で痛みを我慢している患者に対し、「支援ロボットを活用した手術という治療の選択肢があることを知ってほしい。この先の人生が痛みから解放され、人生を楽しみながら健康寿命を延ばせる可能性がある」と呼びかけた。

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